読書

芦名定道ほか(2022)『学問と政治――学術会議任命拒否問題とは何か』

学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か (岩波新書) 作者:芦名 定道,宇野 重規,岡田 正則,小沢 隆一,加藤 陽子,松宮 孝明 岩波書店 Amazon 報道になるような新しい話題がないので世間的には下火になった感がありますが、学術会議の会員に任命拒否された6人…

ヴァージニア・ユーバンクス(2017=2021)『格差の自動化――デジタル化がどのように貧困者をプロファイルし、取締り、処罰するか』

格差の自動化: デジタル化がどのように貧困者をプロファイルし、取締り、処罰するか 作者:ヴァージニア・ユーバンクス 人文書院 Amazon 予測モデルが正確に機能するためには、多くの関連データを伴った明白な、曖昧さのない測定基準が必要である。しかし、そ…

ウィリアム・プーレン(2017=2018)『心を整えるランニング』

心を整えるランニング 作者:ウィリアム・プーレン ディスカヴァー・トゥエンティワン Amazon 昨日の地震はかなり揺れました。体感としては昨年2月の地震以上でした。 地下鉄が動いていなかったので、今日の朝はレンタサイクルで出勤しました。自転車にはめっ…

伊藤亜聖(2020)『デジタル化する新興国――先進国を超えるか、監視社会の到来か』

デジタル化する新興国 先進国を超えるか、監視社会の到来か (中公新書) 作者:伊藤亜聖 中央公論新社 Amazon 以前の職場でお世話になったことがある先生の著作です。中国経済がご専門の先生ですが、本書では中国を含む新興国に一般化可能なデジタル化の影響が…

チャディー・メン・タン(2014=2016)『サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』

サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法 作者:チャディー・メン・タン,一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート 英治出版 Amazon 瞑想を多くの人にやってもらえるようにするには、科学…

橋爪大三郎・中田考(2021)『中国共産党帝国とウイグル』

中国共産党帝国とウイグル (集英社新書) 作者:橋爪大三郎,中田考 集英社 Amazon 習近平政権になってから、ウイグル人に対する締め付けが一段と強まった。アメリカ政府によれば、「ジェノサイド」(民族大虐殺)である。世界の非難が集まっている。けれども、…

岡田憲治(2019)『なぜリベラルは敗け続けるのか』

なぜリベラルは敗け続けるのか 作者:岡田 憲治 集英社インターナショナル Amazon 「私は本書執筆で『友』を喪う覚悟を決めた」と帯にあります。これ以上の民主主義の破壊をどうにか止めたいという思いで、あえてこれまでに共に活動してきたリベラル陣営に対…

成瀬尚志編(2016)『学生を思考にいざなうレポート課題』

学生を思考にいざなうレポート課題 ひつじ書房 Amazon 以前にオンライン飲み会の最中に、先輩に教えてもらった本です。 科研費のプロジェクトの一環として刊行されたもののようで、こういうテーマでも1つの研究課題になるのは面白いですね。 授業内容から組…

Brigitte Le Roux & Henry Rouanet(2010=2021)『多重対応分析』

多重対応分析 作者:Brigitte Le Roux,Henry Rouanet オーム社 Amazon Sageの緑のシリーズから翻訳されたものになっています。 訳注がかなり詳しく、翻訳する際の工夫、関連する概念、日本語の関連書籍などが紹介されていて勉強になりました。ただし、「原文…

マイケル・サンデル(2020=2021)『実力も運のうち――能力主義は正義か?』

実力も運のうち 能力主義は正義か? 作者:マイケル サンデル 早川書房 Amazon 途中まで原書で読んで止まっていたのですが、残りを訳書で読み終わりました。 原題は、The Tyranny of Merit: What's Become of the Common Good? なので、かなり思い切った訳で…

宇野重規(2020)『民主主義とは何か』

民主主義とは何か (講談社現代新書) 作者:宇野重規 発売日: 2020/10/21 メディア: Kindle版 発売後わりとすぐに買っていたのですが、半分くらい読んで止まっていました。ここ2,3日で残りを読了しました。 『保守主義とは何か』では、エドマンド・バークが参…

クロード・スティール(2010=2020)『ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか』

ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか 作者:クロード・スティール 発売日: 2020/04/06 メディア: 単行本 どうも自分はマルチタスクが苦手で、つまり目の前の作業にかかりきりになってしまうことがよくあ…

ハドリー・ウィッカム&ギャレット・グロールマンド(2017=2017)『Rではじめるデータサイエンス』

Rではじめるデータサイエンス 作者:Hadley Wickham,Garrett Grolemund 発売日: 2017/10/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) 以前にも一度読んだのですが、あらためて一通り動かして、ようやくある程度は使えるようになってきました。dplyrでパイプ演算子を…

苅谷剛彦・吉見俊哉(2020)『大学はもう死んでいる?――トップユニバーシティーからの問題提起』

大学はもう死んでいる? トップユニバーシティーからの問題提起 (集英社新書) 作者:苅谷 剛彦,吉見 俊哉 発売日: 2020/01/17 メディア: 新書 吉見先生が『「文系学部廃止」の衝撃』や、『トランプのアメリカに住む』で人文系の知がどのような意味で役に立つの…

マイケル・サンデル(2006=2011)『公共哲学――政治における道徳を考える』

公共哲学 政治における道徳を考える (ちくま学芸文庫) 作者:マイケル・サンデル 発売日: 2011/06/10 メディア: 文庫 この前読んでいた本で、リベラリズムがその原理を徹底させるならば、同性婚のみならず、複婚(一夫多妻制・一妻多夫制)も認めなければいけ…

溝上慎一(2014)『アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換』

アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換 作者:溝上 慎一 発売日: 2014/10/01 メディア: 単行本 アクティブラーニングに関する基本理論を一通り学びたいと思い、手に取りました。溝上先生は単に授業の設計・戦略という観点からではなく、情報社会化…

芦田宏直(2019)『シラバス論――大学の時代と時間、あるいは〈知識〉の死と再生について』

シラバス論:大学の時代と時間、あるいは〈知識〉の死と再生について 作者:芦田宏直 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2019/12/09 メディア: 単行本 生協で平積みになっていて面白そうだったので買ってみました。著者の先生が以前からブログに書きためてきた…

村上春樹(2017)『騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編』

騎士団長殺し 第2部: 遷ろうメタファー編(上) (新潮文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2019/03/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 騎士団長殺し 第2部: 遷ろうメタファー編(下) (新潮文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカ…

高田明和(2014)『1日10分の坐禅入門――医者がすすめる禅のこころ』

一日10分の坐禅入門 ――医者がすすめる禅のこころ (角川oneテーマ21) 作者: 高田明和 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2014/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る もう一つ感じたことがあります。結跏趺坐をすると、まるで宇宙に堂々と…

村上春樹(2017)『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編』

騎士団長殺し 第1部: 顕れるイデア編(上) (新潮文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2019/02/28 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 騎士団長殺し 第1部: 顕れるイデア編(下) (新潮文庫) 作者: 村上春樹 出版社/…

藤田一照(2018)『禅僧が教える考えすぎない生き方』

禅僧が教える考えすぎない生き方 作者: 藤田一照 出版社/メーカー: 大和書房 発売日: 2018/10/27 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 以前に著者の別の本を、坐禅に興味を持ち始めた頃に読みました。前に読んだほうは対談…

斉藤章佳(2017)『男が痴漢になる理由』

男が痴漢になる理由 作者: 斉藤章佳 出版社/メーカー: イースト・プレス 発売日: 2017/08/18 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る 読み終えたのは少し前なのですが、内容を思い出しながら気になった点をまとめてみます。 繰…

神島裕子(2018)『正義とは何か――現代政治哲学の6つの視点』

正義とは何か-現代政治哲学の6つの視点 (中公新書) 作者: 神島裕子 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2018/09/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る 序章 哲学と民主主義――古代ギリシア世界から 第1章 「公正としての正義」――リベラリ…

菊池正史(2018)『「影の総理」と呼ばれた男――野中広務 権力闘争の論理』

「影の総理」と呼ばれた男 野中広務 権力闘争の論理 (講談社現代新書) 作者: 菊池正史 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/12/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 野中の政治を「弱者に寄り添う政治」と評する人がいるが、私は「寄り添…

橘玲(2018)『朝日ぎらい――よりよい世界のためのリベラル進化論』

朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論 (朝日新書) 作者: 橘玲 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2018/06/13 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る これから述べるように、世界でも日本でもひとびとの価値観は確実にリベラルになってい…

Baumeister and Tierney (2011) Willpower: Rediscovering the Greatest Human Strength

Baumeister, Roy and John Tierney. 2011. Willpower: Rediscovering the Greatest Human Strength. Penguin Books. Willpower: Rediscovering Our Greatest Strength 作者: Roy F. Baumeister,John Tierney 出版社/メーカー: Penguin 発売日: 2012/09/06 メ…

Cal Newport (2019) Digital Minimalism: Choosing a Focused Life in a Noisy World

Digital Minimalism: Choosing a Focused Life in a Noisy World (English Edition) 作者: Cal Newport 出版社/メーカー: Portfolio 発売日: 2019/02/05 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 先日読んだDeep Workが面白かったので、こちらも。本…

草薙龍瞬(2015)『反応しない練習――あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』

反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」 作者: 草薙龍瞬 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版 発売日: 2015/07/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る 著者は特定の宗派に属さない独立した僧侶とのことで…

水瀬ケンイチ(2017)『お金は寝かせて増やしなさい』

お金は寝かせて増やしなさい 作者: 水瀬ケンイチ 出版社/メーカー: フォレスト出版 発売日: 2017/12/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 投資信託の一種であるインデックス投資に関する本です。自分にとっては疎い分野で、日経…

Cal Newport (2016) "Deep Work: Rules for Focused Success in a Distracted World"

Deep Work: Rules for Focused Success in a Distracted World 作者: Cal Newport 出版社/メーカー: Grand Central Publishing 発売日: 2016/01/05 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 邦訳も出ているようですが、原著で読んでみました。…