苅谷剛彦・増田ユリヤ『欲ばり過ぎるニッポンの教育』

欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)

欲ばり過ぎるニッポンの教育 (講談社現代新書)

教育社会学者とジャーナリストが近年の日本の教育動向について、欧米との比較を交えながら対談した本。

最初の方はミクロな視点とマクロな視点でのズレが多くあって話が全くかみ合っておらず、読んでいるこちらが「大丈夫か?」と思わされるほどだった。が、章が進むにつれて、フィンランドの事例からうまく日本の教育問題が浮き彫りにされていったと思う。

焦点は、とかくポジティブリスト(IT教育・環境教育・早期英語教育など良いと思われるものは何でも取り込もうとすること)になりがちな日本の教育を、いかに実態を見据えたものに変えてゆけるかということ。

そのためには、データに基づいた議論を根付かせる必要があるんだけれど、むしろデータを引き合いに出すほど忌避されるというのが、日本の教育論議の現状なんだよね。