『フルメタル・ジャケット』
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2001/08/23
- メディア: DVD
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1987年、アメリカ公開。グスタフ・ハスフォードの小説を原作とし、スタンリー・キューブリックが監督となってつくられた映画。
時代はベトナム戦争のただ中。主人公は海兵隊に志願した若者で、物語の前半は訓練キャンプで生活をし、後半ではベトナムに赴き軍の報道記者として任務に就く。
前半の訓練キャンプの映像は結構衝撃的で、訓練教官が厳しい指導や汚い言葉で兵士たちの人間性を奪ってゆく様子が描かれている。劇中の言葉を使えば、「ロボット」ではなく「殺人者」をつくる過程、ということだ。
戦争映画を観ていると、しばしば映画というメディアの強烈さを意識させられる。軍隊式の命令が持つ言葉の質感や、鮮血が飛び散るシーンは、やはり活字媒体とは伝わり方が違う。メディア論を展開したマクルーハンの用語を使えば「メディアはメッセージである」わけだ。
また、Wikipedia日本語版の説明によれば、「アメリカには珍しい明確な反戦を基調とした映画である」とのことだが、必ずしもそういった印象は受けなかった。確かに、人間が感情を持たない殺人者となる様子や、ベトナム戦争の空虚さを描いてはいるのだが、一方で米軍へのシンパシー、ベトコンへの憎悪を喚起させるようなシーンがいくつもあるからだ。
そう感じさせるの理由は、海兵隊の一員である主人公を中心に、カメラの視点が置かれていることが大きいように思う。