森重雄『モダンのアンスタンス―教育のアルケオロジー』

モダンのアンスタンス―教育のアルケオロジー (リベラ・シリーズ)

モダンのアンスタンス―教育のアルケオロジー (リベラ・シリーズ)

「近代社会がなぜ教育をあそこまで要求したのか」という問いに対して、日本における近代学校の成立をつぶさに分析することで、議論の枠組みをつくろうとした本だと言えようか。

国民国家を成立させるために近代学校は有効な道具であったということが、しばしば言われるが、著者はそのような性急な答えを求めない。教育は近代のアンスタンス(審級)として、私たちの中に根付いてしまっているからだ。

分析の方法として、教育をアパレイユ(装置)、プラティック(実践)、ディスクール(言説)の三相に分け、その自明性を解体してゆく。
フーコーを援用しているのだろうが、正にアルケオロジー(考古学)の試みというわけだ。

脱構築」の手法が、この本が書かれた当時(1993年)にはまだ有効だったのだろうか。著者がまだ存命であったら、どのようなことを言っていただろうかとふと気になった。