A.H.ハルゼーほか『教育社会学―第三のソリューション』

教育社会学―第三のソリューション

教育社会学―第三のソリューション

イギリスの教育社会学者ハルゼーが編集した、通算三冊目になるリーディングス
税抜き原価で¥8,700。「○○大学出版会」の本は、もう少し安くならないものか。

訳書の副題についている「第三」とは、70年代後半以降の、新しい研究の潮流を示したものらしい。
教育の市場化、家庭環境による教育機会の格差をテーマにした論文が中心に載っている。


教育社会学を「政治算術」として再構築し、教育を取り巻く現実課題の解決に向けて積極的に関与すべき、というハルゼー先生の立場に賛成。

それと同時に、日本の教育学がいかに政治に対して無力かということを感じた。
昨年、朝日新聞に「教育学者のいない教育再生会議」という記事があったが、教育について論議する際に、教育の専門家が必要ないとこの国では考えられているのが現状なわけだ。

それに対して欧米では、本書に載っているような質の高い論文が発表され、おそらくある程度は受け入れられているということが羨ましい。
日本の教育学がそうなってゆくことは、今後あり得るのだろうか。