ドストエーフスキイ『カラマーゾフの兄弟』(1)

カラマーゾフの兄弟〈第1巻〉 (岩波文庫)

カラマーゾフの兄弟〈第1巻〉 (岩波文庫)

岩波文庫版。第1巻を読むだけで、結構時間がかかってしまった。
大学1年の時に新潮文庫版で読んだのだが、訳の違いはあまり分からなかった。

新潮文庫版は全三巻なのに対して、岩波文庫版は全四巻。なので、岩波文庫版は一冊に収められている分量が少なめ。第1巻では、物語中最も有名な「大審問官」の章がまだ出てこなかった。

斎藤孝が『過剰な人』という本で述べていることだけれども、ドストエーフスキイの小説は、とても現実にはありえないような人たちが出てくるのが良い。人間のエッセンスを取り出して、蒸留したような感じとでも言えばいいだろうか。

ものすごくヒステリックだったり、ものすごく絶望していたり、ものすごくおしゃべりだったり(文庫にして5,6ページもしゃべり続ける人間がいるだろうか?)と変人揃いなのだが、なぜか感情移入させられる。