ホルクハイマー,アドルノ『啓蒙の弁証法―哲学的断想』
- 作者: ホルクハイマー,アドルノ,Max Horkheimer,Theodor W. Adorno,徳永恂
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/01/16
- メディア: 文庫
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フランクフルト学派の代表的著作。ようやく読み終わった。
うーむ、半端なく難解。複雑な論理もそうなのだが、特にギリシャ神話やらユダヤ神学の話がたくさん出てきて、知識のない自分には読み進めるのが苦痛だった。
問い自体はシンプルで、
われわれが胸に抱いていたのは、ほかでもない。何故に人類は、真に人間的な状態に踏み入っていく代わりに、一種の新しい野蛮状態へ落ち込んでいくのか、という認識であった。
(p.7)
ということを根本的に突き詰めたものらしい。
言いかえれば、西欧的な理性に対する自己批判であり、そのために「啓蒙」という概念が注目された。
訳者によれば、「啓蒙」とは、「たんに無知を啓発するという意味や、歴史上の一時期をさすのではなくて、こういう人類史的過程を貫く文明化の過程という意味を持っている」。
その人類史的過程において、「啓蒙」と比較して論ぜられるのが「神話」。一見して、「啓蒙」は合理化の過程であり、「神話」を否定するものである。しかし、実は「神話」がそもそも「啓蒙」であり、現在起きていることは、「啓蒙」が再び「神話」へと回帰し、自己崩壊している現象である。その意味で、「啓蒙」は弁証法的な過程をたどる…
と書いていて、ますます分からなくなった。いつかまた読み返そう。
あ、でも第四章の「文化産業」の話は面白かった&少し理解できた。「文化商品に対する、消費者たちの強制されたミメーシス」というフレーズが印象に残った。テレビとか映画とか、自分が自由で選んでいるように見えて、結局はパッケージ化したものを選ばされているだけじゃないの、個性はもはや画一化したカテゴリーでしか語れなくなっているよ、ってことだよね。