高根正昭『創造の方法学』
- 作者: 高根正昭
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1979/09/18
- メディア: 新書
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社会科学における方法論の大切さを説いた本。
この本自体は、3年の時にゼミで紹介されて存在は知っていたのだが、最近になってお世話になっている研究員さんに「学部のうちに読んでおいた方がいいよ」と勧められたので、今さらながら買って読んでみた。
感想としては、正に名著と言うべきか。3年のうちに読んでおくべきだったと思う。
内容は簡単に言えば、知的創造を行うには、問題意識が立派なだけじゃ駄目だよ、適切な方法が用いられなければならないよ、ということ。
著者は、アメリカでの長く研究生活を送ってきた人であり、日本の大学とのカリキュラムの違いや、日本の大学教育の問題について述べた部分が特に面白かった。
既に21世紀を迎えようとしている今日の大学においては、学生は個々の経験的事実を超えた概念を把握する方法を、学ばなければならないということである。また学生は因果法則に基づいた理論を構築する方法をも、学ばなければならない。さらに彼らはその理論をどう経験的データによって検証するか、その方法についての訓練をも与えられなければならない。つまり科学的思考法、科学的研究法の根本的原理を学ぶことこそが、今日の大学教育の根本的機能に他ならないのではないか。(中略)「何を知るか」ではなく、「いかに知るか」という、基本的方法の学習が大学教育の中心的機能とならなければならないのである。
(pp.187-188)
アメリカでは、理論と方法論の講義が学部でも大学院でも必修となっているとのこと。
本書が描かれてから30年近く経っているが、日本の大学における社会科学のカリキュラムはどうだろうかと、ふと考えた。
得体の知れない「教養」という言葉を声高に上げることよりも、適切な方法論を身につけさせることが大事なのかもね。