近藤博之編『日本の階層システム 3 戦後日本の教育社会』

卒論は一応書き終わった。後は先生からcriticalなコメントがつかないことを祈るのみ。

久しぶりに時間をかけて社会学の本を読んだ。95年度のSSM(Social Stratification and Mobility)調査のデータについて、社会階層論の視点からまとめたシリーズの1冊。1章につき、1本の論文が異なる著者によって書かれている。

第11章の「『知的階層制』の神話」という論文が面白かった。
個人の地位達成はIQによって決まっており、IQは遺伝によって生得的に決まっている。よって、社会を不公正だとして非難する理由はない、という90年代のアメリカで物議を醸した理論に対して、遺伝による影響はあったとしても小さく、社会環境による不公正はやはり存在するという反駁を試みたもの。

こうした議論に深くつっこもうとすると、生物学の理論にも触れないといけないので大変だと思った。
しかし、どうしてアメリカでは未だにIQへの信仰が根強いのだろうね。