玉野和志『創価学会の研究』

創価学会の研究 (講談社現代新書)

創価学会の研究 (講談社現代新書)

知らないことが多くて勉強になった。
特に、日本における創価学会の研究がその思想を「功利主義的」、「ファシズム的」と非難しがちであるのに対し、海外研究者の手によるものは、消費社会化の進む中でキリスト教の禁欲思想よりも時代に適合的であると評価する傾向がある点。それから、創価学会を支持基盤とする公明党は、自民党を支持してきた都市の中小零細の自営業者の一部を補完する形で発展してきたという点が面白かった。

しかし、事実レベルの記述や先行研究のレビューが占める割合が多く、

確かに創価学会の歴史の中には人々の誤解や中傷を招くことがなかったわけではない。しかしその程度のことはある程度の組織であれば、どこにでもあることである。むしろ私はそれをことさらに問題視する日本社会のほうに、あるおもしろさを感じたのである。人々はなぜ創価学会を嫌うのか。そこにわれわれ日本人と日本の社会を理解する鍵が隠されているように思えたのである。(p.3)

という初めの問題関心がどこかへ行ってしまっている気がして、ちょっと残念だった。