高原基彰『不安型ナショナリズムの時代――日韓中のネット世代が憎みあう本当の理由』

著者は、日本・韓国・中国の戦後の歴史を、「総中間層化」→「脱工業化」→「社会流動化」の過程であると記述し、近年インターネット上で見られる反日嫌韓、嫌中の現象は、社会流動化による不安がもたらしていると指摘する。

すなわち、一見ナショナリズムの高まりであるかのように見えるものは、国内の雇用や社会保障の問題が背景にあるのであって、それを手当てせずに若者の「右傾化」を嘆くのは全くの見当違いであるということ。


若年世代の雇用と社会保障の対策をすることには異論ないのだが、「社会流動化」→「不安型ナショナリズム」という因果関係についてはちゃんと論じられていないので、本当なのかなと少し疑問に思うところ。