郷田マモラ『サマヨイザクラ―裁判員制度の光と闇』

サマヨイザクラ裁判員制度の光と闇 下 (2) (アクションコミックス)

サマヨイザクラ裁判員制度の光と闇 下 (2) (アクションコミックス)

今年5月から始まった裁判員制度について、裁判員に選ばれた人々の目線から描かれている漫画。

副題にある「光と闇」とは、この制度を通して、人々が生死を含む様々な問題や民主主義についての思考を深められるという利点と、裁決が人々の感情に左右されてしまい、重罰化あるいはその逆に流れやすくなってしまうというデメリットを指している。

しかし、裁判員が感情的な判断をしてしまうという問題点は、公判前整理手続によって検察が論点を大きく絞ってしまうことと併せた方がよいのではないかと思った。

また、評議の場で裁判員が「地獄」とも思えるような精神負担を受けることが強調されていたが、そこにうまく感情移入ができなかった。評議の細かい過程や裁判員に課せられる厳しい守秘義務については取り上げられていたのだが。

モリのアサガオ』では死刑執行に携わる刑務官の心情が鮮やかに描かれていただけに、少し残念。