湯浅誠『反貧困―「すべり台社会」からの脱出』

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)

しばらく積読状態だったものを読了。

この著者はめちゃくちゃ文章がうまい。小規模なNPOの代表がこれほど影響を持てている背景には、様々な団体との連携や貧困問題の深刻さもさることながら、この論理力もあるのではないかと思う。

「すべり台社会」という表現も卓抜。本来、雇用・社会保険・公的扶助の三層のセーフティネットや、著者の言う「溜め」(センの「潜在能力」に相当する概念)があれば踏ん張れるはずなのに、どんどん落下してゆくイメージがうまく浮かんでくる。敢えて言えば、もう少し加速度的に落ちてゆく感じがあるとよいと思うが。