マックス・ヴェーバー『職業としての学問』

職業としての学問 (岩波文庫)

職業としての学問 (岩波文庫)

三読目。新聞のコラムでこれについて触れられていて、突如読みたくなった。

第一次大戦後のドイツで行われた講演を文章にしたもので、(1)ドイツにおける生計を得る手段としての学問の現状、とくにそのアメリカとの比較、(2)職業として学問を志す学生の持つべき心構え、(3)学問の境界、それが何をなし得るかについてが主な内容。

(2)では、自己の専門へ閉じこもり、ザッへにただ専心することが説かれ、(3)では学問と政策は区別しなければならないこと、大学教授はあくまで教師であって指導者ではないので、自らの世界観や政治的立場を主張せず、価値判断から自由でなくてはならないことなどが説かれる。

このあたりがヴェーバーの厳しい禁止を求める言い回しとも相まって、異論のあるところだから時代を経て読み続けられてきたのだろうなと思う。

全体的に、以前よりも読むのにリアリティというか緊迫感が伴った。

学問に生きるものは、ひとり自己の専門に閉じこもることによってのみ、自分はここにのちのちまで残るような仕事を達成したという、おそらく生涯に二度と味わわれぬであろうような深い喜びを感じることができる。実際に価値ありかつ完璧の域に達しているような業績は、こんにちではみな専門家的になしとげられたものばかりである。それゆえ、いわばみずからめかくしを着けることのできない人や、また自己の全心を打ち込んで、たとえばある写本の正しい解釈を得ることに夢中になるといったようなことのできない人は、まず学問には縁遠い人々である。
(p.22)