ピーター・バーガー,トーマス・ルックマン『現実の社会的構成―知識社会学論考』

現実の社会的構成―知識社会学論考

現実の社会的構成―知識社会学論考

いわゆる現象学的社会学の本。

とりあえずポイントと思われるところを書きだしておくと、

■現実は知識を確証として社会的に構成されており、知識社会学はこの構成の過程を分析すべきだというのが、著者たちの主張。

■それまでの知識社会学の研究では、専門家たちによって理論化・体系化された知識が主に扱われてきたが、著者たちは日常生活における知識が、現実の構成において担う重要性に着目した。

■社会は客観的現実として存在すると同時に、主観的現実としても存在し、これらは弁証法的な過程をなしている。社会を客観的現実とする分析はデュルケームの理論に対応し、主観的現実とする分析はヴェーバーの理論に対応する。

■著者たちは、社会が弁証法的過程をなすと単に言うだけではなく、そのより詳細な側面についても述べた。すなわち、社会は外化、客観化、内在化、の三つの契機からなる。外化とは人間が環境に関して働きかける活動のことであり、客観化とは外化によって生み出されたものが、個人の外側にある事実として認識されるようになることであり、内在化とは客観化された制度がとりこまれ、主観的な現実となること。

■さらに内在化は第一次的社会化と第二次的社会化という過程をとる。第一次的社会化は、幼児期において経験する最初の社会化であり、それを経て個人は社会の一員となる。これに対して、第二次的社会化は、すでに社会化されている個人が、その属している社会の新しい諸部門へと参入してゆくとき、あるいはそれ以後の社会化のこと。

■第一次的社会化においてはミードの言う、意味ある他者が重要な役割を担う。子どもは、意味ある他者の世界を相対的なものとして内在化するのではなく、それを唯一の、世界そのものとして内在化する。


日常的な知識や行動の話は、自分の研究に有用であるかはともかく、読み物として面白い。中途半端にして放り出しているゴッフマンもそろそろ読もうかな。