チャールズ・ディケンズ『オリヴァ・ツウィスト』(上)(下)

オリヴァ・ツウィスト (上) (岩波文庫)

オリヴァ・ツウィスト (上) (岩波文庫)

オリヴァ・ツウィスト (下) (岩波文庫)

オリヴァ・ツウィスト (下) (岩波文庫)

上巻の、オリヴァが救貧院〜ロンドンに出るあたりまでと、下巻で、ナンシイがサイクスに持った複雑な心理が描かれているあたりがとても面白かった。ただ、話が進むにつれて、オリヴァの生い立ちを巡るややこしい話が多くなってしまって、人物関係がよく分からなくなってくるのが残念。

また、最後に窃盗団が壊滅させられて親玉が処刑されるまでの場面は、なかなか考えさせられた。それはロンドンの街中を上げて、人々が窃盗団の住処まで押し寄せて怒号を浴びせ、また処刑の日も多くの人々が絞首台まで集まるというものなのだが、これこそフーコーが『監獄の誕生』で述べていた近代以前の刑罰か、と思った。