カール・マルクス,フリードリヒ・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』

ドイツ・イデオロギー 新編輯版 (岩波文庫)

ドイツ・イデオロギー 新編輯版 (岩波文庫)

フォイエルバッハやバウアーと言ったヘーゲル左派批判が展開されていて、唯物論的な歴史観の基礎を定立したと言われている。

社会学的な視点から面白いと思ったのは、まず人間が作りだしたものが人間を離れて、逆に人間を支配するものとして現れてくること(すなわち疎外)について、分業にその原因を見ていること。分業と私的所有とは、人間の活動の別の側面を見ているにすぎないということ。また、観念論を批判し、現実の生産諸関係に注目しなければならないと繰り返し言っていること。

マルクスは、コント、ヴェーバーデュルケームジンメルと並んで社会学の祖であるとしばしば言われるが、以上のような点を踏まえると結構納得がゆく(もっとも本書の草稿はほとんどエンゲルスによって書かれたものだけれども)。