フョードル・ドストエフスキー『賭博者』

賭博者 (新潮文庫)

賭博者 (新潮文庫)

ドストエフスキーの私生活に根ざしている話ということは面白い。ただ、狂気についてならば『地下室の手記』の方が、女性に対する情熱についてならば『白痴』あたりの方がよい作品だと思う。また、五大長編に見られるような思想的な要素が見られないのが物足りない。


それから、ドストエフスキーの作品は、しばしば「ロシア的なもの」とは何かということも大きなテーマとなっている。ヨーロッパを舞台にした本作ではそれがいっそう明確に出ていると感じた。