チェーホフ『かもめ』

かもめ (岩波文庫)

かもめ (岩波文庫)

トリゴーリン なに、ちょっとしたメモです……。題材がひらめいたものでね……。(手帖をしまう)ちょっとした短編の題材です。ある湖の岸に、あなたのような若い娘が子供のころから暮らしている。かもめのように湖が好きで、仕合わせで、かもめのように自由だった。ところが、そこにたまたま男がやってきて、彼女を見そめ、退屈まぎれにその娘を破滅させる。このかもめのように。
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買ってから、駒場時代に受講したロシア語の先生が最近出した翻訳だということに気付いた。

戯曲は時間のある時に一気に読むべきだと思った。細切れで読むと、間の味わいが悪くなる。

訳者の解説は面白い視点だとは思うが、ちょっと怪しくもある。当時の流刑地であったサハリンでへの旅の経験によって、狭隘な「一人称的世界(主人公の視点をひたすら強化すること)」から解放されたって本当かなあ。