選挙(に関する思いつき)

■今回の参院選、大きな焦点は消費税増税なわけだが、自民党が10%を公約に掲げ、民主党がそれに乗ってきたというのが面白い。二大政党の政策が中道的な有権者の選好に収斂してゆくという理論、何と言ったか。

■ところで、消費税増税を主張したことが直近の民主党支持率の下落につながっているということらしいが、ちょっと前までの世論調査では消費税増税に肯定的な意見が半分を超えていた。これを見ると、事業仕分けもあながち意味がなかったこともないと思う。無駄の削減に限界があると有権者に認識させたわけだから。

■投票行動について。合理的な有権者は、投票に行かないとモデル的に考えられる。なぜなら、自分が一票を投じるかどうかが当選結果に影響することはなく、かつ投票をしなくても政策が実現することによる効用は変わらないからである。これは一回限りの選挙ではなく、繰り返しの状況を想定しても同様になる。
では、投票行動は非合理的なものとして説明するか、あるいは公共心や規範のようなものを導入しないと説明できないのだろうか。
投票行動を一種のコミュニケーション行為と考えたらどうだろうか。投票という行為があることにより、それぞれの政党がどのような政策を掲げるかに注意を払うようになる。また、周りの人々(インターネット上の不特定の人々でもよい)と、政治に関するコミュニケーションが生まれる。それ自体が一つの効用を生み出す。ラザースフェルドの「コミュニケーションの二段の流れ仮説」から分かるように、世論はマスコミから来る情報をダイレクトに受け取ったアウトプットではなく、周りの人々との相互作用の総体なのだから。