小林雅之『進学格差―深刻化する教育費負担』

進学格差―深刻化する教育費負担 (ちくま新書)

進学格差―深刻化する教育費負担 (ちくま新書)

記述的な分析が多く、新書で出す内容なのだろうかというのが率直な感想。高等教育機会の費用の差が、進路選択の格差を生み出しているということを繰り返し確認している以上のことはしていないわけで。

「問題が顕在化しなかった背景には、親が子どもの教育に要する費用を負担するのは当然だという社会の風潮がある」[23]というようなテーマにもっと切り込んで欲しいと思った。

それから、日本の話をしているのか、高等教育一般の話をしているのか一見してよく分からない箇所が多い。また、「そもそも大学は消費者に課される価格(授業料)が実際の費用よりかなり低いという、かなりまれな産業であり」[150]というような文章があるなど、読者に不親切な書き方も見られる。