Brand and Xie(2010)

Brand, Jennie E. and Yu Xie, 2010, "Who Benefits Most from College?: Evidence for Negative Selection in Heterogeneous Economic Returns to Higher Education," American Sociological Review, 75(2): 273-302.


NLSYとWLSデータを用いて、傾向スコア+HLMで大卒学歴の収入への効果の異質性を見るという論文。

社会経済的に恵まれておらず、大学に進学しにくい(傾向スコアの層において下位な)人々ほど、大卒学歴の収入への効果が大きいという"Negative Selection"仮説を検証している。
これまでの多くの研究が暗にその逆の"Positive Selection"ないしは、そうした異質性が存在しないことを前提にしていたのに対して、Negative Selectionが存在することをrobustな結果として示しているのが新しい。


なぜこういうことが観察されるかというと、大学に進学しにくい人々は、大卒学歴がない場合に得ることができる収入が極端に低くなるが、大学に進学しやすい人々は大卒学歴がなくても、様々な経済的・文化的資源を利用することができるから、という解釈をしている。


Yu Xie教授の論文は質・量ともにすさまじい。
日本でこれだけの論文はあと10年は出てこないんじゃないかと思う。