トーマス・ペイン『コモン・センス 他三篇』

コモン・センス 他三篇 (岩波文庫 白 106-1)

コモン・センス 他三篇 (岩波文庫 白 106-1)

当時、人口250万人のアメリカにおいて、50万部も売れたそうな。とてつもないベストセラーである。

イギリスから分離独立しない限りアメリカの繁栄はないことを、感情ではなく「理と利」に基づいて書かれたパンフレット。しかも、指導者だけではなく大衆にも訴えかける、分かりやすい文体で書かれており、ジャーナリストとしてのペインの腕がうかがわれる。



政府の役割について。

 社会と政府を混同してしまって両者の間にほとんど、いな全く区別をつけようとしない著述家たちがいる。ところが両者は違っているばかりか、起源からしても別なのだ。社会はわれわれの必要から生じ、政府はわれわれの悪徳から生じた。
(中略)
 社会はどんな状態においても有り難いものであるが、政府はたとえ最上の状態においてもやむをえない悪にすぎない。
(中略)安全こそが政府の真の意図であり目的であるので、その形態はどうであれ、最もよく安全を確保できる政府が、また最小の費用で最大の幸福をもたらしてくれるような政府がなによりも結構だ、ということはわかり切ったことである。
[17-8]


王政への批判。

 一人の人間を他の人間よりも非常に高い地位におくことは、自然の平等権からして是認されないが、聖書の権威からしても弁護することはできない。なぜならギデオンや預言者サムエルがはっきりと言っているように、全能の神の意思は明らかに王による統治を否認しているからだ。
[28]

 要するに、王政および王位継承は、(そこかしこの王国だけではなく)世界を血なまぐさい廃墟にしてきた。そして聖書が反対を表明しているのは、まさにこの統治形態なのだ。
[40]

 イギリスでは国王は戦争をしたり、官職を分配したりするほかは、することがほとんどない。はっきり言えば、王がやっているのは国民を貧乏に追いやったり、仲たがいさせたりすることなのだ。一人の人間が一年間に80万ポンドをもらい、おまけに崇拝されるとはなんと結構な職務ではないか。
[41]


「コモン・センス」への訴えかけ。

 これから述べることは、単なる事実やわかり切った議論や常識にすぎないものである。どうか読者は偏見や先入観を捨てて、もっぱら理性や感情に従って自分自身で判断を下していただきたい。また人間としての真の本性を身につけて、いなむしろそれを捨て去らないで、現在を乗り越えて大きく視野を広げていただきたい。
[42]


イギリスとの和解ではなく、分離独立が必要であることの主張。

 最も熱心な和解論者に対して、わたしは挑戦する。イギリスに結びついていることによって大陸が獲得できる利益があるなら、その一つでも示してみよ、と。わたしは繰り返し挑戦する、なんの利益もないではないか、と。われわれの穀物はヨーロッパのどの市場でも売れるし、またわれわれの輸入する品物は代金を支払いさえすれば、どこからでも買えるのだ。
[49]

 正義や道理にかなったものすべてが、分離を主張している。殺された者の血が、自然の泣き声が「今こそ分離すべきだ」と叫んでいる。
[49-50]


宗教上の寛容性。

 次に宗教に関しては、わたしはすべての良心的な信仰告白者を保護することが政府の避けられない義務であると考えている。(中略)わたし自身としては、われわれの間に宗教上の意見の相違があることは全能の神の意思である、と本当に心の底から信じている。
[81]


独立宣言に特につながった箇所?

 結論を述べると、ある者にとってははそう考えることが奇妙に思われようとも、あるいはそう考えたくなかろうとも、それはどうでもよい。公然の断固とした独立宣言以外には、現在の事態を速やかに解決できる道はないのだ。