伊藤博『科学物語 平和を目指した科学者たち』

古本を出すために家の中の段ボールを引っくり返し中。読んでいないけれども、いざ売るとなるとためらわれる本が出てきたり、ついつい読んでしまったりと、なかなか作業が進まない。


これはおそらく学部1年の時に古本で買ったもの。
原子核放射線の発見についての功績がある物理学者、原爆・水爆の開発に関わった物理学者の列伝。原子力発電についての記述はないが、ふと読みたくなった。

具体的にはキュリー夫妻、ラザフォード、アインシュタイン、ボーア、湯川秀樹ハイゼンベルク、エドワード・テラーなどが取り上げられている。

著者が高校の教員らしく、高校物理の復習になるところが結構あった。ラザフォードのアルファ線の散乱の実験など。


物理学者というと、一見すると現実から離れた高度に抽象的な世界で研究をしている人々だ。その中でもノーベル賞を受賞するほどの物理学者が、平和や原爆の廃絶に強力な価値コミットメントを持っていたというのは、若干パラドキシカルで興味がひかれる問題だ。