日本の高等教育システムの、欧米諸国のそれとの決定的な構造上の違いは、巨大な私学セクターの存在にある。周知のようにヨーロッパ諸国には事実上、私学セクターはなく、アメリカでも在学者全体の30%弱をしめるにすぎない。在学者の80%近くを私学セクターがしめる国は、先進諸国のなかには存在しない。日本の高等教育のマス化もユニバーサル化も、この問題抜きには考えることはできない。
(天野郁夫『日本の高等教育システム—変革と創造』[95])

費用負担のあり方との関係を仮説的に色々と考えさせられた、重要な点。