Rosamond(2002)


Rosamond, Ben, 2002, "Plagiarism, Academic Norms and the Governance of the Profession," Politics, 22(3): 167-74.


○盗用行為の"crime"とした場合のいくつかの観点―(1)学術的な基準に達しないのが問題だという観点、(2)学術研究が円滑に機能する上での"trust"を失わせるものであるという観点、(3)原著者の権利を侵害するものであるという観点。


○盗用行為をどのように定義するかという問題―(1)意図的であったのかどうか、(2)盗用した分量はどれほどか、(3)参照文献には入れていても引用符を入れていない場合や、paraphraseも盗用になりうるのか。


○さらに複雑な問題―(1)どのようにして盗用行為を見抜くか、(2)文献を参照する必要のない"common knowledge"の範囲をどのように定めるか。


○ウェブの発達によって、盗用行為への敏感さが高まっている(学生向けの論文執筆代行業者の問題)。


○罰則に訴えた強固な規制を設けることは考えられるが、これは盗用行為を操作的に十分明確にし、かつ見抜くことができるという仮定の上に成り立つ。またこうした方法では、「かしこい」盗用行為をする人間はうまく逃げるかもしれない。


○単に罰則の恐怖を与えるのではなく、学生を学術的な規範に社会化させることに注意を向けるべきである。これは実践的には議論によるものになる。学生との議論の際は、引用の仕方や文献リストの作り方など、手取り足取り教える段階まで下りて行うべきである。


○盗用行為の多くは締め切りが迫ることで起こるので、時間管理を説くことは効果がある。締め切りより十分に余裕を持って題目について打ち合わせ、研究の計画を立てることは盗用行為を抑制する。


○こうした方法はさらに次のメリットがある。(1)学生に盗用行為について教育することと、研究スキルを身につけさせることが分離しない、(2)提出後の見破りではなく、組み立ての仮定となる、(3)よりよい研究のアウトプットが出てくるのでポジティヴサムである。


○しかし、問題はより微妙かつ複雑である。大学の内部規定は、ウェブなどの技術の変化に追いついていない。学問に携わるものは、現在の変化している規範に対して敏感でなければならない。