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『ノルウェイの森』

2回目です。

最初に観た時は、あまりにストーリーが省略されすぎていて(突撃隊が出てくるところ・寮の部屋を出てゆくところなど)、原作を読んでいても展開が分からなくなるところがありました。


今回も、2時間の映画にするには無理があるのかなという印象は拭えませんでしたが、1回目よりはよかったです。
少なくとも主題である、「喪失と再生」についてはそれなりにうまく表現されているのではないかと思いました。
しかし、村上春樹作品によく出てくるメタファー的な要素は、映画では表現が難しいと思います。結局のところ、映画版は原作を読んだことがある人が、実写化された雰囲気を楽しむためのもの、といったところなのかもしれません。


映画で特筆したいのは、緑役の水原希子です。

村上春樹作品はしばしば、「無国籍的・無時代的」であるとされます。長編作品はだいたい日本のある時代を舞台としているのですが、どこの国か・いつの時代かをあまり感じさせないところが作品にあるというものです。これは批判の対象にもなっており、例えば、「『1Q84』は、1984年である必然性がないではないか」というようなことも言われます。


本作も、学生運動が盛んだった1969年の東京を舞台としているにもかかわらず、どこか異国で物語が展開しているかのような雰囲気を与えます。本作がヨーロッパ滞在中に書かれたことの影響も、村上春樹本人が語っています。


この無国籍的な世界観に、水原希子が非常にマッチしています。
これは、アメリカ人と韓国人のハーフであり、テキサス生まれで日本育ちという水原希子の生い立ちが多分に影響しているのかもしれません。


しかし、個人的に好きなシーンの一つである、苺のショート・ケーキを例に挙げたワタナベとのやりとりで、「私、そうしてもらったぶんきちんと相手を愛するの」という緑のセリフが、映画では若干変わっているのが残念です。
監督のトラン・アン・ユンベトナム人なので、そこは日本人のスタッフにそのままにして欲しかったところです。