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『万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』

今よりも様々なノイズが少なかったからか、あるいは歌を詠むことで鍛錬されたからか分かりませんが、この時代の人々は、視覚や聴覚が今よりも遥かに鋭敏だったのではないかと思わされます。


恋愛を詠った相聞や、当時の社会情況を反映した貧窮問答歌や防人の歌なども魅力的ですが、特に惹かれたのは山上憶良の子を思う歌でしょうか。
本書には次のような歌が収録されていました。


憶良らは 今は罷らむ 子泣くらむ それその母も 我を待つらむぞ


瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ いづくより 来たりしものぞ まなかひに もとなかかりて 安寐し寝さぬ


銀も 金も玉も 何せむに まされる宝 子にしかめやも


若ければ 道行き知らじ 賄はせむ 黄泉の使 負ひて通らせ


やくやくに かたちくづほり 朝な朝な 言ふことやみ たまきはる 命絶えぬれ 立ち躍り 足すり叫び 伏し仰ぎ 胸打ち嘆き 手に持てる 我が子飛ばしつ 世間の道