東京大学の学部入試方法の変更について

http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/news/notices/208/


これに関してのニュースやウェブ上の意見はほぼまったく読んでいないのですが、以下感じたことです。


●ペーパーテストだけでなく、学校の授業内外の経験(例えば部活動やボランティア活動はおそらく評価の基準になる)などを評価に入れるというのは、秋入学とあわせて、国際的な標準に合わせたいという大学の姿勢から理解できそう。


●また、女子学生比率を2020年度までに30%に高めたいという大学の目標ももしかしたら影響しているかもしれない。


●現時点での予定では後期日程のみで100人程度とのことなので、人数的には現在の後期日程の枠がほぼそのまま維持されるという感じ。


●前期日程との併願は可能にするだろうと思われる。前期日程の出願者はほとんど後期も東大で出願している現状を考えると、一部(東大合格者数ランキング上位)の高校では学校の負担がかなり増えそう。


●またセンター試験の点数を考慮に入れるとのことなので、足切りが大量に出そう。志願者がそれほど減らないことを仮定すると、入試に携わる教授の負担を過大にしないためには足切りを重視しないわけにはいかないと考えられるため。


●現在の後期日程の足切り点数の高さを考えると、足切り突破だけでかなり大変になりそう。つまり足切り突破のハードルの高さは維持されると思われるので、そうするとどれだけこれまでの後期日程合格者と異なる学生が入ってくるかはよくわからないところもある。


●仮説:例えばハーバード大が高校時代の様々な経験を入試で重視していると言っても、トップクラスの大学の合格者SATが競合しているアメリカと、東大への一極集中度合が高い日本では、ペーパーテスト以外の要素を導入した際の影響も異なるのではないか。ハーバード大では合格者のSATが2070-2350点であるのに対し、東大の後期日程では足切り突破者のセンター試験点数が707-776点と分散が小さいと考えられる。「センター試験はそれほどがんばらなくても合格できる可能性がある」という予期が高校生に生まれ、その振る舞いが変わらない限り、根本的に異なる学生はそう多くは入ってこないのではないか。


■追記:報道を少し確認してみたところ11月に願書、12月に面接、1月のセンター試験で規定以上の成績を取れば合格ということらしい。この「規定以上」がどれくらいになるのかは線引きが難しそう。場合によっては、現状の後期日程くらいの線引きになることもあるかも。
そして各校が推薦できるのは1〜2名とのこと。開成のように東大合格者が100人を超えるようなところも、桐蔭学園のように1学年が1000人を超えるようなところも1〜2名しか推薦できないのだから、不公平との声も出るかも。ただし多様な人材を採りたいという大学側のポリシーからすれば納得できなくもない。