George Orwell, 1984.

1984 (English Edition)

1984 (English Edition)

AndroidKindleアプリで読みました。ハヤカワ文庫の翻訳で一度読んでいるので内容はおおむね頭に入っています。

Kindleで読むと分からない単語を選択することで、辞書から意味を表示してくれるのですが、これがあまりスマートではありません。例えば、"well-defined"のようにhyphenizeされた単語を正しく読み取ってくれません。また、副詞を調べた時に形容詞に飛ばないといけないという手間がかかる場合があります。修正してくれるか、あるいは別の辞書を使えるようにしてくれればよいのですが。

一貫して戦慄させられるようなディストピアが描かれている本作ですが、唯一の救いを感じさせるのが巻末のappendixです。本作の世界における言語(newspeak)についての説明がなされている箇所で、newspeakは語彙の「無駄」を徹底的に省くことで、自由で批判的な思考を持たせなくさせる仕組みを持っているという、思考と言語の関係について書かれた内容自体も興味深いです。しかし、さらに注目すべきはこのAppendixが過去形で書かれているということです。作品の中ではWinstonは、"doublethink"を使いこなす党員、O’Brienに拷問を受け、最終的にはJuliaへの愛も失わせられ、Big Brotherを「正しく」愛するようになりました。しかし、いつかBig Brotherと党は打倒され、自由な社会が戻ったのではないか、という希望が感じさせられる作りになっています。