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『ヒミズ』

古谷実原作の漫画を、園子温監督で映画化したものです。
撮影時期に東日本大震災が起きた影響を受けて、震災後の世界として描かれており、登場人物の設定や結末が大きく変わっています。

原作でもある程度は感じられるのですが、映画は『罪と罰』をかなり意識して作られているという印象です(これは多くの人が指摘しているようです)。『罪と罰』との違いとして挙げられるのは、ラスコーリニコフは自らの殺人に対して罪を自覚し、ソーニャに諭されて大地に接吻をしていますが、本作の住田は自らの殺人が悪だと明確に認めることのないままに、茶沢に進められて自首に向かっています。最後のシーンで、茶沢に、「がんばれ、住田!」と繰り返し言われながら警察に走ってゆくシーンは印象的であり、住田の罪の自覚よりも、生きる希望を優先して描いたということなのかもしれません。これが震災後の世界として設定されていることによって、とりわけ強いメッセージ性を感じます。あるいは、むしろ震災後の世界であることによって、生きる希望というものを描かざるをえなかったのかもしれません。