[TED]ラッセル・フォスター「なぜ人は眠るのか?」

 

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 「なぜ人は眠るのか?」(Why do we sleep?)というタイトルがついていますが、睡眠不足の危険性が主な内容と言えます。

 脳の模型を持ちだして、「『使い方が分からない』という社会科学者からこれを借りてきたんだ」とジョークを飛ばしますが、彼自身の話には社会科学的なところがかなり含まれています。かつて睡眠は素晴らしいものと捉えられていたのが、産業革命以後には害悪や怠惰として見なされるようになったというのは興味深いです。ノルベルト・エリアスの『文明化の過程』を思わせるところがありますね。

 睡眠の重要な機能として記憶の定着があることや、睡眠障害とメンタルヘルスの関係など、話としては聞いたことがあるものが多かったですが、あらためて言われるとちゃんと睡眠はとらないとなという気持ちになります(とりあえず深夜にブログを書くなどは、この先生にもっとも怒られそうなことですね)。

 しかし、TEDの他の動画に共通して言えることはありますが、これだけうまく喋れるようになるのにはどれだけの訓練が必要なのでしょう。そういえば昨日の新聞にて、理研で新元素を発見した森田浩介教授の、「授業は研究よりも難しい」というコメントが載っていました。授業や講演のような場合には学会発表と異なり、聴衆との知識量や興味が非対称であるので、研究とは違ったスキルがやはり必要になると感じます。