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Card (1999) "The Causal Effect of Education on Earnings"

論文

Card, David. 1999. "The Causal Effect of Education on Earnings." Pp. 1801-63 in Handbook of Labor Economics Volume 3, Part A., edited by O. C. Ashenfelter and D. Card. Amsterdam, The Netherlands: Elsevier.

 今さらながら通して読みました(今さらと書くと、そもそも自分はちゃんと教育の研究をしたことがあるのかという疑問も生じるのですが)。

 時期的には、AngristやImbensのseminalな研究が出た後であり、IVを用いた研究のレビューが中心になっています。potential outcomeによる表記をしてもらった方が、自分としてはおそらくより理解ができたと思うのですが、そうはなっていませんでした。

 実証研究の蓄積的な知見としては、教育の所得への因果効果として、OLSよりもIVの推定値の方が大きく出ている研究が多くなっています。ただし、その解釈についてはどのようなIVを用いているかに注意が必要とのことです。

 地域における大学への近さ(proximity)や授業料などの制度的な変数を用いた研究では、これらのIVによって影響される生徒は、よりmarginal returnが大きいという個人レベルの異質性の存在が示唆されています。一方で、親の教育年数のような家庭背景の変数については、IVがもたらす上方バイアスの可能性として解釈されていました。同一の変数をOLSの統制変数として用いるか、IVとして用いるかで結果が変わってくるということや、能力によるバイアスよりも測定誤差の影響がより大きいかもしれないとかいうことも興味深い点です。

 どういった因果モデルを想定するかによって、これらの解釈にも影響してくるようなので、特に前半のモデルの導入部はもう少し繰り返して読まなければという印象です。