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Riisgård (2000) "The Peer-review System: Time for Re-assessment?"

論文

Riisgård, Hans Ulrik. 2000. "The Peer-review System: Time for Re-assessment?" Marine Ecology Progress Series 192: 305-13.

 

 ぼちぼち査読を引き受けさせていただく機会も生じてきたのですが、まだ経験が浅いので、いろいろとわからないことも多いです。前にある先生と話していたら、「だいたい電車の中で読んで、2時間くらいでコメントをまとめる」とおっしゃられていて、「そんな短い時間でいいのだろうか?」と思ってしまったこともあります(細かい表現や関連する文献のチェックなどを行っていたら、まず2時間では終わりません)。しかし、慣れてきたり、ベテランになって時間がなくなってきたりしたら、それくらいが普通なのかもしれません。とりあえず査読者としての心構えや、査読という仕組み自体について、研究の合間に少し勉強をしています。

 本論文は、査読経験者や編集委員経験者による、様々な問題点の指摘や改善策の主張をまとめたものになっています。私とかなり違う分野ではありますが(たぶん論文1本あたりのページ数は短いものの、投稿論文の数=審査しなければならない数はかなり多い)、ある程度は普遍的な問題が扱われていると感じました。

 

  • ピアレビューは、科学における研究の質を保つ上で、最良の方法であり続けている。しかしながら、昇進やテニュアの獲得において業績を出す必要性が高まっているために、ますます多くの論文が投稿されるようになっている。
  • よい査読者を見つけるのは容易ではない。多くの研究者は査読を引き受けることは、時間をとられる割にはリターンが小さいものだと感じている。
  • 査読の仕事は、その価値がより認識されるべきである。しかし、履歴書に査読経験や編集委員の経験を書けるようになったとしても、大学内での年次評価にはほとんどよい影響を持たないだろう。
  • 査読者に金銭的な報酬を与えることは考えられる。しかし、研究者がもっとも欲しいのは時間である。査読の仕事は誰かを雇って補助してもらえる部分は小さく、金銭的な報酬によって新たな時間を作り出すことは難しい。また、査読の仕事を引き受けたがらないのは年配の研究者に多く、これらの人々は金銭には動かされにくい。
  • 投稿者に投稿料を課すのはどうか。これは投稿される論文の完成度をある程度は高めることになるだろう。しかし、研究費を十分に持たない若い研究者が成果を出しづらくなる可能性がある。また、そもそもこのようなお金の使い方は、研究助成の規定によって許可されないかもしれない。
  • おそらく、もっともよい改善策は「現物報酬」(payback in kind)だろう。あるジャーナルに投稿しようと思っている研究者は、そのジャーナルにおける査読依頼を拒否するべきではない。査読依頼を継続して断る研究者に対しては、投稿を受け付けないようにすることも考えるべきである。研究者はそのキャリア全体を通して、投稿する3倍の数の論文の査読を引き受けるべきである。