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小泉純一郎・吉原毅『黙って寝てはいられない』

読書

 

黙って寝てはいられない

黙って寝てはいられない

 

 

 小泉元首相が、原発ゼロ推進やトモダチ作戦被害者支援基金のために、各地で行った講演を編集したものになっています。

 「科学は真理を追求するもの」だという古典的な規範があります。しかし実際のところは、専門家がいかに利権や業界内での自分のポジションの維持に腐心しており、真理や公益がおざなりにされているのかというのが、原発事故は明らかにしたと思います。

 5年経った今でも、電源喪失の本当の原因が、地震だったのか津波だったのかも未だに明らかになっていませんし、原発が本当に安いのかどうかを検証するためのデータも十分に公開されていません。やはり、人間は自分の誤りを認めたくないし、既得権益を手放すのも嫌う存在なのだろうかと感じます。かくいう自分も、大学で研究する身として、研究の評価のされ方が正しさとは関係のない次元で行われる場面は、しばしば経験しています(原発事故のような深刻な問題は起こさないとはしても)。

 そうしたことを踏まえると、首相退任後とはいえ、かつての自分の判断を反省できるというのは立派なことだと思います。特に74歳という年齢を考えれば、これだけ精力的な活動に取り組めるというのは、並大抵のことではありません。一方で、イラク戦争に関しては当時の判断を正しかったと思っているようなのは、残念なところではありますが。