日本経済新聞社編『世界を変えた経済学の名著』

 

世界を変えた経済学の名著 (日経ビジネス人文庫)

世界を変えた経済学の名著 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 半分は教養のために、半分は授業の参考になるかと思って読みました。第1部「文明論の視点」、第2部「思想の広がり」、第3部「経済理論の発展」、第4部「経営学の深化」と分かれており、その分野の専門家の先生方が1章ずつで、計18冊が採り上げられています。

 第1部がやや異色で、1章は福沢諭吉の『文明論之概略』です。文庫になる前は、『経済学 名著と現代』というタイトルだったそうなのですが、文庫版で『世界を変えた~』となったことで、余計に福沢諭吉から始まるのが奇妙な感じはします。2章のブローデル『地中海』も、おそらく類書ではあまり扱われていないのではないでしょうか。

 他の章を見ると、アダム・スミス、ケインズあたりは王道ですが、トクヴィル、ウェーバー、ヒューム、ブキャナン&タロック、サイモンなどが扱われているのを見ると、他の社会科学にも大きな影響を与えた研究を重視して選んでいるような気もします。