梅原大吾『1日ひとつだけ、強くなる。 世界一プロ・ゲーマーの勝ち続ける64の流儀』

 

  



  Youtubeでたまたま講演の動画を観たのですが、面白かったので著書も買ってみました。ちなみに上の動画の後半部分で、後輩が質問していて意表を突かれました。

 

 本書の副題になっている「勝ち続ける」ということについて、著者は単に「勝つこと」とは明確に区別しています。一度勝つだけであれば、運や勢い、特定の技術などによって可能であるものの、長期に渡って成果を挙げるためには、そうした要素だけでは通用しないということです。

 そして著者は一回限りの勝ちではなく、長期に渡って成果を挙げることを重視しています。そのためには、「自分を飽きさせないこと」が必要だといいます。いくら好きなことを仕事にしているとは言え、20年以上もゲームをやってきているために、自分を飽きさせないということは、なかなか難しいことのようです。

 大会での優勝を目的にすると、それを達成した瞬間にモチベーションを失ってしまうために、「勝ち続けるためには勝つことを目的にしない」という、一見すると逆説的な主張が展開されています。自分を飽きさせないためには、「継続して成長を感じられること」が重要であり、そのためにはむしろ目標を下げ、一日ひとつでも発見があればよいとのことです。

 

 前に読んだ村上春樹『職業としての小説家』でも、一回小説を書くだけならば、色々な人がやっているものの、小説を書き続けている人はそれほど多くないということでした。そして、小説を書き続けるための、徹底的な自己管理やルーティンの確立が印象に残っています。やはり、長期に渡って成果を挙げられるということは、その道のプロとしての条件だと言えるのかもしれません。