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Giddens(1984=2015)pp.19-20

メモ

Giddens, Anthony. 1984. The Constitution of Society: Outline of the Theory of Structuration. Cambridge: Polity Press.(=2015,門田健一訳『社会の構成』勁草書房.)

 

 機能主義が社会科学において大きな重要性を持ち続けてきたのは,それが理論化の類型として卓越していたからだけではなく,経験的調査へと刺激を与え続けてきたからでもある.人類学のフィールドワークの起源は機能主義が与えた衝撃のほぼ延長線上にあり,また,社会学においても機能主義的思考に助けを受けておびただしい数の調査研究が生み出されてきた.たしかに,この点で機能主義の魅力を理解することは必要だと思う.だがそれでもやはり,概念という点で機能主義は大きな悪影響を及ぼしてきた.機能主義が強い調子で主張してきたのは,行為の意図せざる結果の意義である.なかでも,そうした結果が規則的に生じ,それゆえ社会的システムの制度的位相の再生産に関わっている場合には,その調子はいっそう強いものとなった.機能主義がこの点を強調したことは全く正しかった.だが,意図せざる結果の研究は機能主義的な概念を用いなくても十分に可能である.さらに,行為の結果に関して意図せざるものだけを明示するにしても,それを経験的研究が適切に把握するためには,行為の意図的な位相が必ず同定されていなければならない.ということはつまり,研究にあたって,機能主義的な前提へと心を傾けている者たちが通常考えている以上に,行為者性(agency)の解釈を洗練していかねばならない,ということなのである.

[pp.19-20]