ガーツ&マホニー(2014=2015)『社会科学のパラダイム論争――2つの文化の物語』

 

社会科学のパラダイム論争: 2つの文化の物語

社会科学のパラダイム論争: 2つの文化の物語

  • 作者: ゲイリーガーツ,ジェイムズマホニー,Gary Goertz,James Mahoney,西川賢,今井真士
  • 出版社/メーカー: 勁草書房
  • 発売日: 2015/08/20
  • メディア: 単行本
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 本書が定量的研究と定性的研究という2つの伝統に注目したのにはさまざまな理由がある。まず,定量的研究・定性的研究という区別は,ほぼすべての社会科学者の言い回しに組み込まれ,さまざまな研究を区別するときの一般的な判断基準として役立っている。ほとんどの社会科学者は定量的研究と定性的研究の対立を口にするが,その両者の違いを同じように理解しているわけではない。筆者たち自身も含め,「定量的」(quantitative)・「定性的」(qualitative)という名称では2つの研究伝統の最も顕著な違いをあまりうまく把握できないと思っているはずの研究者でさえ,その専門用語を使わないわけにはいかないと感じてしまうのである。

[p. 6]

 

  1章を読みました。前にも関連する文献を読んでいますが、新しく担当する授業の導入に使えるかもしれないと思って、ネタ探しのために読み始めています。

 「Desining Social Inquiryとは正反対の立ち位置にある」(p. 2)と明確に断られていますね。たしかに本書のように「2つの文化」を強調する方が、定量的・定性的研究それぞれの、現に行われている実践をすんなり理解しやすいよう思います。というのも、DSIの主張は多くの点で的確ではあるものの、その推奨するアプローチを適用する上での困難さに当惑させられることの方がむしろ多かったからかもしれません。