山岸先生のご訃報

 

 山岸俊男先生が先日お亡くなりになられたのですね。一時期、新制度論の文献を集中的に読んでいた際に、山岸先生の提唱されている文化的選好に対する制度的アプローチはもっと勉強したいと思っていただけに、とても残念です。

 社会心理学は専門から外れるため詳しくはないものの、山岸先生のご研究は理論的に新奇であり、しかも実験によってしっかり裏付けられており、どれも面白く読みました。このブログでもいくつか採り上げさせていただきましたし、授業で教える際のネタとしても使わせていただくことがありました。

 

 

 2010年に東大で開催されたセミナーでは、直接講演を伺うことができました。「デフォルト戦略」についての説明の中で、「日本人だろうがアメリカ人だろうが、焼き肉の最後の一切れに手を出すことに躊躇するのは同じ」(意思決定を行う際の不確実性が低ければ、一見すると文化的振る舞いの差として見えるものは消失する)というたとえ話を挙げられていたのを覚えています。