Killewald and Bearak(2014)母親の賃金ペナルティに対する分位点回帰の使用について

 

Killewald, Alexsandra and Jonathan Bearak. 2014. "Is the Motherhood Penalty Larger for Low-Wage Women? A Comment on Quantile Regression." American Socoilogical Review 79: 350-7.

 

共変量を含むモデルでは、条件付き分位点回帰(CQR)は、条件付き賃金分布上の異なる位置における母親のペナルティの大きさを推定する(Budig and Hodges 2010: 712)。言いかえれば、条件付き分布は他の特性を所与とした際に個人がより高いあるいは低い賃金であるかを測定する。[352]

 

もちろん、女性の賃金は学歴に依存する。低賃金の労働者は高賃金の労働者にくらべて学歴が低いことが非常に多く、それゆえ条件付き分位点は母親であることの賃金の高低への効果とは解釈できない。そうではなく、それぞれの学歴グループ内の賃金分布の異なる点における、母親であることの賃金ペナルティとして解釈可能なものである。[352]

 

これに対して、非条件付き分位点回帰(UQR)は、回帰に先立つ(pre-regression)分位点を定める(Firpo, Fortin, and Lemieux 2009)。共変量は母親であることと賃金の間に存在する疑似相関を取り除く働きはするものの、それを含めることで個々の観察が賃金分布の中央値や他の分位点に位置づくかには影響しない。それゆえ、非条件付き分位点回帰は、母親であることによる女性の非条件付き賃金分布の異なる点への効果という、Budig and Hodgesの問いに答えるために用いることができる。[353]