イヴァン・イリイチ『脱学校の社会』

脱学校の社会 (現代社会科学叢書)

脱学校の社会 (現代社会科学叢書)

読もう読もうと思ってて、ずっと先延ばしにしていた本。

リベラルな教育論というようなイメージしか持っていなかったが、ここまで理想主義的な内容だったとは。

イリイチの主張は、学校に代表されるような制度化されたものが社会のすみずみまで行きわたった、「学校化社会」を解体せよというもの。

学校だけでなく、軍隊・病院・刑務所などが「学校化」された空間の例であり、それらは現在では制度が機能しなくなっている。たいへん非効率的かつ非人間的なシステムなので、廃止して人々の自発的なネットワークをベースとした社会に転換しなければならないということらしい。

「学校化」という概念は卓抜で、批判も的を射ているところが多いんだけど、それを実践するために提示されているプランは…正直微妙。

学校を廃止したところで、人々が自発的に集まって勉強会が起こすようになるとはとても思えない。まあでも、フリースクールやチャータースクール・或いはバウチャー制などの、教育の自由化・個性化論に影響は与えているんだろうなあ。