『恋空』
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2008/04/25
- メディア: DVD
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フランスの思想家、ジャン・ボードリヤールは『湾岸戦争は起こらなかった』という著書を記している。それが意味するところは、湾岸戦争はこれまでのいかなる戦争とも異なり、メディア時代の戦争であり、テレビ報道を通して「湾岸戦争が起きている」ことを全世界が知ったということだ。
このように私たちは日常で知る多くの情報をマスメディアに依存しており、自分で見聞きした情報ではない。例えば私は今、新聞の情報によって「福田康夫」という人物について知っているが、彼が現実に存在するかどうか自分で確かめたわけではない。
そして、私や私の周りの人間の多くも『恋空』という作品について自ら見た上で批評しているわけではない。インターネット上に他人が書いた紹介や批評を読んで、「スイーツ(笑)」と言っているわけだ。このようなコミュニケーション様式を再帰的に捉え、今回『恋空』のDVDを観ることにした。
…という完全に後づけな理由だが、某所にて『恋空』の鑑賞会を行った。
何というか、評判どおり展開が急で脈絡がない。「何でそんなに簡単に立ち直るんだ?」というほどに、登場人物の感情の変化が突拍子もなく、「泣かせる」ために雑多な事件を詰め込んだという感じ。
改めて、「ケータイ小説」は、小説ではないのだと思った。言わば中高生のメールのやり取りの延長だ。そこではお手軽にお互いが共感できることが第一であり、そのプロセスは大して重要ではない。