凶悪殺人事件の報道に関して思うこと

凶悪な殺人事件が起きるたびに、マスメディアではいかにも日本の治安が悪くなっているように報道される。しかし警察庁の統計によれば、2007年の殺人の認知件数は1,199件であり、平成3年の1,215件を下回って戦後最低を記録している。

日本の殺人の認知件数は、昭和29年の3,081件をピークとしてほぼ一貫して減少傾向にある。マスメディアのつくり出すイメージとは裏腹に、『ALWAYS 三丁目の夕日』の少し前の時代がもっとも治安が悪かったわけだ。

主要メディアで昨年の殺人認知件数に触れたものは、管見によれば見当たらない。「日本は世界で最も安全な国の一つ」としばしば報道する海外のメディアとは対照的だ。

理由は複合的だと考えられるが、日本の治安が悪化しているというイメージが拡がると何かと都合がいいことがあるのだと思う。メディアは不安を煽ることで視聴率や部数を稼ぐことができるし、警察からセキュリティ産業への良い天下り先ができているという話もある。