野口克海ほか『地方発の教育改革―大阪府・新潟県・山形県の元義務教育課長が語る』

地方発の教育改革―大阪府・新潟県・山形県の元義務教育課長が語る

地方発の教育改革―大阪府・新潟県・山形県の元義務教育課長が語る

副題の通り、3人の教育関係者による対談本。

教育現場に関わったことのある人たちの、教育に対するポジティヴな見方をひしひしと感じながら読んだ。

この前学科関係の先生が、「教育社会学を学ぶと教師になろうとなんて思えなくなる」と言っていた。
自分は1年半しか勉強していないが、それでも

教育改革は、子どもたちを元気にするものでなければいけない(p.165)

というような理念的な言葉にはコミットできなくなっている。

まあ、それでもこの本の著者たちは教育委員会の中でもかなり異端であったらしく、官僚的機構の弊害を抜け出そうとするなど、面白い部分はあった。

しかし、以下の内容はいただけない。

 一年を経過して、このプラン[少人数制学級]についてある程度の効果測定をして、それを県民に説明しました。これまでの評価で、面白いことが分かりました。
 まず一つはですね、私の予想以上の成果ですが、例えば、学力検査の偏差値が平均で2.5ポイントも上がったということです。これはもう、大変な成果だと思いますね。それから不登校の出現率が減った、またある学校においては不登校がいなくなった、と言って校長先生がびっくりしたというわけです。子ども一人年平均の欠席日数も約一日減ったのです。
(中略)
 それから、外遊びする子どもが増えてきたということ。さらに、面白いのは虫歯の治療率がうんと高まったということもあります。これは一体どういうことなのか。やはり担任の先生と子どもの人間関係のかかわり度合いが非常に多くなった、密になったという結果だと思います。

いやいや…先生と子どものかかわりが密になったからといって、何で虫歯の治療率が高まるんだ。