ディケンズ『クリスマス・キャロル』

クリスマス・キャロル (集英社文庫)

クリスマス・キャロル (集英社文庫)

イギリスの文豪、ディケンズの代表作の一つ。

子ども向けの作品だと思っていたが、結構読みづらかった。イギリスのクリスマスで出される料理や、飾りつけなどの習慣に馴染みがないからかな。

話としては、以下のような感じ。
ある意地悪なお爺さんが、ロンドンに事務所を構えていた。クリスマスの夜に、7年前に亡くなったはずの共同経営者が亡霊として出てくる。
その亡霊は、生前に自分が正しい行いをしなかったことで、今も苦しめられている。だから、お前にはそうはならないで欲しいというようなことを告げる。
その後、3人の精霊が出てきて、お爺さんの過去・現在・未来の姿を見せる。過去には、子どもの頃の生き生きとした姿を、現在では吝嗇な性格で人々から疎まれている姿を、未来では誰にも自らの死を悲しんでもらえない姿を見て、自分の行動を改めることを誓う。
そして精霊が消えた後、お爺さんは優しい性格になり、人々ともにクリスマスを祝うようになり、幸せになって物語は終わる。


ディケンズの勧善懲悪、ヒューマニズムの精神がよくも悪くも表れている作品だった。

お爺さんの性格が変わりすぎなのは気になった。ただ、自分のみじめな死に方を想像できてしまうと、そのくらいの変容は十分にあり得るのかもね。現代日本の孤独死の問題とも繋がるけれど、どのように死ぬかというのはやはり重要だというか何というか。