『気狂いピエロ』

気狂いピエロ [DVD]

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1965年の、ジャン=リュック・ゴダール監督による作品。

結婚生活に満足できていない男が、昔の愛人と出会うが、翌朝見知らぬ男の死体を見つけ、逃避行を始めることになる。
その末に、パニックを起こし愛人を殺すことになり、最終的には誤ってダイナマイトに火をつけて死んでしまう。


というのは、がんばってストーリーを読み込もうと思えば、の話。

至る所に出てくる文学作品の引用や、常識から外れた行動で、普通のストーリーをなしていない。

そのめちゃくちゃなところがこの作品の醍醐味なのだろうけれど、ちゃんと理解するのはかなり難解だと思う。


でも、セリフがとにかくかっこいい。

そういえば、村上春樹の『神の子どもたちはみな踊る』の初めに本作の以下の一節が引かれているのを思い出した。

<ラジオのニュース> 米軍も多大の戦死者を出しましたが、ヴェトコン側も115人戦死しました。
 女 「無名って恐ろしいわね」
 男 「なんだって?」
 女 「ゲリラが115名戦死というだけでは何もわからないわ。一人ひとりのことは何もわからない。妻や子供がいたのか? 芝居より映画の方が好きだったか? まるでわからない。ただ115人戦死というだけ」