『遭難フリーター』

ユーロスペースにて。恐縮なことに、無料で観させていただきました。

仙台の大学を卒業し、埼玉にあるキャノンの工場で派遣労働者として働いていた若者が、自分自身を撮ったセルフ・ドキュメンタリー。

自らの生活の様子だけではなく、マスコミの非正規雇用特集で取材された際の映像を観て、自分自身について考え直すという、再帰性が強調されている印象を受けた。

マスコミには、「搾取されている労働者」とか、「希望のない若者」というように描かれ、主人公はそれに対する違和感を抱く。その違和感から、街頭デモに参加してみるけれども、結局は自分自身の問題であるのだと考える。


自己責任論に回収されているじゃないか、という批判もできると思うのだが、多くの若者の本心としては、そんなところじゃないかとも思う。
デモとか連帯とかしてみても、生活が変わるとはなかなか思えないし、そうした状況に対して、どう自分自身が折り合いをつけてゆくかというような。


まあ、労働問題の映画として見れば『フツーの仕事がしたい』の方が圧倒的に面白かったが、一人の若者の実存として見ればそれなりに面白いというところ。