『スラムドッグ$ミリオネア』
話題になっているので、一応観ておこうかという程度で行ったのだが、かなり面白かった。
インドのスラム出身の少年が、世界最大のクイズショー「クイズ$ミリオネア」に出場し、あと一問で最高額の賞金を獲得できるところまで行きつく。しかし、全く教育を受けていない彼が、次々正解をしたところから、不正を疑われ、警察に逮捕されて尋問を受けることになってしまう。そこで彼は、「正解を知っていた」理由として、自らの過酷な生活を語り始める…という話。
主人公が、最後の一問に挑戦する瞬間、人々がテレビ局の前や街頭のテレビの前で熱狂するシーンがあって思ったのは、インドでは貧困状態から抜け出して富を獲得することが、「夢」として人々に訴えかけるのだなということである。見田宗介が70年代半ばから90年頃までを指していった「夢の時代」に通ずるものがあるかもしれない。
後は、インドのスラムにおける貧困のリアリティを描いたものとしてだけでなく、恋愛映画としてもよい出来だったと思う。様々な困難に見舞われながらも、相手を「運命的な」ものとして感じられるということが、ロマンチック・ラブの本義であるよ。