佐藤博樹・佐藤厚編『仕事の社会学―変貌する働き方』

仕事の社会学―変貌する働き方 (有斐閣ブックス)

仕事の社会学―変貌する働き方 (有斐閣ブックス)


基本的な知識の重要性を認識させられる本。

ただ、非典型雇用についての章は、記述がちょっと淡白すぎるのではないかと思った。

 一方[短時間のパートに対して]、派遣労働者の場合は、「正社員として働ける会社がなかったから」という理由をあげる者がもっとも多く4割を占めている。典型雇用の雇用機会を得られなかったために、やむなく現在の働き方を選んでいるという者が少なくないといえる。とはいえ、全体としては「家庭の事情や他の活動と両立しやすいから」や「組織にしばられたくないから」「専門的な資格・技能が活かせるから」といった理由をあげる者が多い。派遣労働者も、その多くは、働く日や時間帯、仕事内容などについて選択可能な柔軟な働き方として、積極的に現在の働き方を選んでいるといえそうである。
(p.151)

いや、4割も「正社員として働ける会社がなかったから」と答えているのは、とてもそんな楽観的な見方をしてはいけないように思えるのだが。

あと、社会学的な視点からだとあまり注目しないのかもしれないが、正規/非正規、男女での賃金格差がどれだけあるのかは扱わなくてよいのかなあという感じ。